結城紬(ゆうきつむぎ)は、茨城県結城市、栃木県小山市及びその周辺で織られている素朴な風合いの紬織物です。 伝統技法を現代に伝える唯一の紬で、今日ではもっとも高級な先染織物のひとつとされています。
この地方では、もともと養蚕が盛んで、農閑期に副業として作られたのが始まりといわれています。この地方を流れる鬼怒川は、かつて「絹川」と呼ばれ、栃木県側の生産の中心地は、「絹村」、「桑村」と呼ばれるなど、養蚕にまつわる地名が多く見られました。
結城紬は、藍によって染色した紬糸を使用したものが多かったため、今でも染色業者は「紺屋(こうや)」と呼ばれています。また、縞柄が多く作られていたことから、産地では問屋を「縞屋(しまや)」と呼びます。
結城紬の製作は、現在でもすべて手作業で行われ、なかでも『真綿(まわた)からの糸つむぎ』、『絣くくり』、『地機(じばた)での機織り』の3つの工程は、国の重要無形文化財及び伝統的工芸品の制作技術に指定されています。
重曹を加えた湯で繭を煮込んで柔らかくします。 その後、ぬるま湯の中で5~6個の繭を広げて重ね、一枚の真綿を作ります。 こうして作られた真綿を「つくし」と呼ばれる器具に巻きつけて『糸つむぎ』をします。 |
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糸つむぎは片方の手で糸を引き、もう片方の親指と人差し指に唾液をつけながら指先で真綿を細くねじり、「おぼけ」と呼ばれる桶にたくわえていきます。 このおぼけ1秤分(約94g)つむいだ糸を「1ボッチ」と呼びます。1ボッチは真綿約50枚分に相当し、約7ボッチで1反の結城紬が作られます。1反分の糸をつむぐのに、約2~3か月もかかります。 |
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この糸を糸車にかけて、綛(かせ)に巻き取ります。これを「綛あげ」といいます。巻き取られた糸は、決められた色に染められます。 染色後の糸は、補強のため小麦粉を使って糊付けされ、「のべ台」で「整経(せいけい)」されます。 この作業で糸を決められた長さと本数に揃えます。 |
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次に、絣糸にするため、たて・よこ糸に「墨付け」を行います。さらに柄となる部分を綿糸でしばり、染料が染み込まないようにします。この作業を『絣くくり』といいます。 絣くくりは、作られる模様にもよりますが、数か月かかります。 |
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絣くくりが済んだら本染めをします。結城紬特有の「たたき染」とよばれる方法で、くくりの済んだ糸の束を棒の先につけて染料に浸し、石の上にたたきつけて染料を染み込ませます。 本染めが済んだら乾燥させてくくり糸をほどき、本糊付けをして糸の強度を高め、毛羽立ちを抑えて織りやすくします。 |
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糊付けしたたて糸を「筬(おさ)」に通し、「男巻き(おまき)」に巻き込みます。 そして「地機(じばた)」で丹念に手織りし、品質検査を経て、ようやく結城紬は出来上がります。 |
結城紬に関して、下記サイトでも、詳しく説明されております。興味のある方は、御覧ください。